大人

・・・・・・・・・略
私が同行していたインド人の神父に彼らの印象を聞くと、
「誰もが幸福そうに見えなかった」と言う。

彼らは皆、自由と経済力、健康、知能、すべてを持っているにもかかわらず、どうしてそう感じたのか。
神父の答えは明快でした。

「彼らは自分がしたいことをしているだけで、人としてすべきことをしていないからです」。


したいことだけをしようとするのは、つまり幼児性なんですね。
大人だって、ほんとうはしたいことだけしていたい。
しかし、そうはいかない。

やはり、すべきことをしなければ、と思う。
そして思いがけないことに、したくないこともした時、
初めて人は自分が必要とされている存在であることを感じて、
生きている意義を見つけ、不思議なことに心が満たされる。

例外もありますが、多くの人はこういう心理と経過をたどるのだと思います。


         曾野綾子  「なぜ日本人は成熟出来ないのか」より


身勝手な人間が多くなった世の中で
自分以外の人たちの為、ひたすらに、純朴に、汗を流す人は美しい。

自分のしたくないことでも誰かのために・・・・・と願い行動すること。
大人として生きるって、そういうことだと改めて思いました。