横取りする女(ひと)


高校時代、夢中で頑張っていたクラブ活動。
幼い頃からしたかった舞踊でした。


父親が反対だったため、高校生になるまで踊りが出来ませんでした。


クラブ活動なら月謝を払わなくて済むので、
父親の許可なく、思う存分、舞踊に没頭出来ました。


勉強のため、学校に行ったのでなく、
学校には踊りに行っていたようなものでした。


本当に好きで好きで・・・・踊りが大好きでした。


朝は授業の始まる1時間前。
(登校一番のり、いつも教頭先生と一緒)。


そして、昼休み、午後の部活動・・・・と
いつも、体育館で踊り続けていました。


懸命な私を先輩達が見ていてくれていたのですね。
高校2年生の時、先輩全員一致で、
こんな私を部長に推薦してくれました。



ただただ、夢中で踊っていた日々でしたが、
ある日、クラブのメンバーから
「洋舞研究部に入って、私が部長になる。」と
宣言している子がいると聞かされました。


その人は私と同じクラスメート。
テニス部に所属していました。

でも、ほとんど、話をしたことはありませんでした。



噂は本当でした。
彼女はテニス部を退部し、洋舞研究部に入部してきました。


彼女のあまりに勝気な競争心は、私には苦手でした。



彼女が入部してきて、
まもなく、私は先輩達の説得も聞かず、クラブを退部しました。

本当に苦手なんです。
人のポジション狙いの強気の競争心は・・・・・・。



その後、クラブ活動には一切参加しなかった私ですが、
モダンダンスの重鎮と言われる先生の研究所と縁が出来、
そこで、ひたすら、モダンダンスに励みました。



高校、大学を卒業してもなお、
モダンダンスに熱中していた私。


やがて、日生劇場や厚生年金ホール・・・など、
舞踊団員のメンバーとして舞台活動にも参加するようになっていました。


ある日、虎ノ門ホールでの舞台公演の
その楽屋で「部長になる」と宣言した彼女に再会したのです。



その頃、若手ダンサーとして頭角を表していた
男性ダンサーの舞踊団の一員として、彼女も参加していたのです。


しかし、またもや、
その男性ダンサーと「結婚してみせる」と彼女が言っている
・・・と私の耳に噂が入って来ました。



あいにく、
その男性は同じ舞踊団の別の女性と結婚したそうです。




彼女、
現在もモダンダンスを続けているようです。

ご自分で舞踊団を経営なさっているようですが、
旧姓のままなので、結婚はしていなかったのかもしれません。。

あるいは、離婚なさったのでしょうか。



いずれにしても相当、気の強い方でした。
忘れえぬ、お一人です。