不思議な話

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日本にいた頃は、自分の家の回りだけでなく、
ご近所の辺りまできれいに掃除をしていました。
昔はあたりまえのことだったんですが、近頃はあまり、見かけませんね。

私は小学校高学年の頃から、よく家の玄関先のそうじや、家族全員の靴をピカピカに磨いていました。

飼っていたカナリヤの鳥かごの掃除もよくしていました。
きちんとエプロンをして、頭にはスカーフを巻き、はりきって掃除をしていました。

不思議な体験はたくさんあるのですが、
今日は掃除に関して20代前半の頃に体験した不思議なお話をします。




実家の3軒先のビルにゲーム機を取り扱う会社がテナントとして入りました。
それからと言うもの、あまり雰囲気の良くない人たちの車が朝から晩まで、
何台も家の前に駐車するようになりました。


実家でシーズー犬を飼っていて、
このワンちゃんが家の前に車が駐車されるたびに吠えまくるので、近所迷惑になるし、
駐車違反の車のため、家の出入りが妨げられるということで、警察に連絡して取り締まってもらったのですが、
何週間たっても一向に改善されないままでした。


それ以前にも、ご近所の子供たちがボール遊びをしていて頻繁に家の中にボールを入れ、
初めはチャイムを鳴らして取りに来たのですが、
そのうち、勝手に塀をのりこえ家の中に入ってボールをとるようになったものですから、
犬は吠えまくり、またまた、ご近所に迷惑を掛けてしまう・・・・といったことが、
続いていた矢先のゲーム機関係の駐車違反でした。


連日のことでホトホト神経が疲れてしまっていた、そんなある日、夢を見たのです。
とても不思議な夢を・・・・・。


夢の中で僧侶の袈裟のような深い青色の着物を着た40代位の恰幅の良い男の人が
実家の玄関前の道路の地べたに座っていました。
実家に向かって何か祈るように手を合わせていました。
はじめ後ろ姿しか見えませんでした。


背後から、「どなたですか?」と声をかけました。

その人は「お前のおじいさんだよ。」と言いました。
その時見たその人の顔だちは、目鼻立ちがはっきりしていて、
身体もがっちりとした印象でした。


実は私の母の父、つまり、私の祖父と母は、母が14歳の頃に戦争のため生き別れになり
生涯会うことが出来ませんでした。

そして、混乱の中で祖父の写真を何一つ持って逃げることが出来なかった為、
私達、孫は誰一人、この祖父の顔を知りませんでした。

なのに夢の中で私ははっきりと祖父の顔を見た気がしました。

実家の玄関先には、表玄関と内玄関との間の1メートルにもならない場所に椿の木が植えられていました。
その場所は郵便ポストが邪魔して、なかなか中に入れず掃除が行き届か無い場所でした。

夢の中で、私のおじいさんというその人は、
「この椿の木のある場所をきれいに掃除しなさい」と言ったのです。

夢のことを早速、母に話しました。
私から聞いた男の人の年代、顔、体格などは祖父とよく似ていたようです。
(母は人づてに祖父が若い時亡くなっていると聞いています。)

母は何か確信したようにその日のうちに椿の木のあった場所をきれいに掃除しました。
郵便ポストからこぼれ落ちたチラシやゴミくず、
そして枯葉などがたくさんあったようです。

それまで、私は全く知らなかったのですが、
勝手口から通じる車庫の中から、この狭い場所に出られたのです。

私は車庫の中の扉の存在を全く知らされていなかったので、
頻繁に玄関先の掃除をしていた私も、この場所だけは手抜き状態でした。

それから、1週間から10日ぐらいたった頃でしょうか。
不思議なことに駐車違反していた車が1台も停まらなくなったのです。
3軒先のゲーム機の会社がテナントから出て行ったらしいのです。

そして、いつも家の前で遊んでいた子供たちも
いつの間にか遊ばなくなり、あっという間に以前の静けさが戻り、
犬も落ち着いて吠えなくなりました。


夢に出てきて掃除を促した祖父。
その掃除をしてからまもなくして、不快な出来事から開放されたこと。

偶然?
いいえ、偶然ではないと思えるのです。

だから、やっぱり・・・・・、
整理整頓をして身の回りをきれいにすることは、とても大切だと信じています。